茶の湯の行事

茶の湯行事カレンダー茶の湯行事資料




茶の湯の季節
炉と風炉の季節があります
風炉(ふろ):釜をかけて湯を沸かす炉
1年を半分(11月立冬から5月の立夏まで)に分けて、立冬から始まる季節が炉の季節です
立夏から始まる季節で風炉を使用します
五月始めに炉を閉じて風炉を開きますが、これを"初風炉の茶事"と申し、大切な心改まる茶事の一つです

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行事内容
正月初   釜 新年を寿ぎ大福茶を皆で祝います
家元ではそれぞれに初釜の行事が催されます
また、お茶のお稽古場でも、先生が生徒さんたちを招き、新年のお祝いなどします
茶室の床の間には新年らしく、結び柳丸山宝長熨斗(ながのし)などの床飾りをします
初釜には島台茶碗が好まれます
島台茶碗とは大小二つの茶碗を重ねたもので、内側は金銀箔が張られたものが多いようです
2月暁の茶事 夜明け前の午前4時ごろ灯火に導かれ茶事が始まります
茶事の進行は、灯火の大きさにより推し量ることができます
灯篭に始まり短檠(たんけい)小燈し(ことぼし)になり、夜明けが近づくに従い徐々に小さくなってきます
最も寒さが厳しい時期に、日の出とともに窓を開けてその明かりを招き入れるという清冽な茶事です
3月利休忌 利休のご命日は旧暦の2月28日ですが、表千家では新暦の3月27日に催されます
残月亭におきましては、お床に利休居士像の掛物が掛けられて菜の花が生けられます
家元が天目茶碗にお湯を注ぎ、茶筅を使わずにお抹茶を一すくい半入れただけのお茶湯をお供えします
回り花茶かぶきが開催されます
4月野点 梅の季節から桜の季節まで野外で催す野点は、まさに春の息吹を全身に感じながら行う
野趣ゆたかな茶会です
野外ということでその準備が大変ですが、自然に溶け込んだ野点の風情は何事にもかえられません
炉から風炉に変わるこの時期には透木釜が使用される機会が多くなります
炉壇に透木を置いて、その上にお釜を設置します(五徳は使用しません)
透木に載せやすいように、透木釜はその腰部が平らに張っています(平蜘蛛釜・羽釜など)
透木釜を使用することは、お客様に火の気を感じさせないよう心遣いをします
5月初風炉 お茶の行事の中でも、大きな節目となるものです
これまで使用していた炉を閉じて風炉に変わります
風炉には大別しますと前欠き風炉タイプと眉風炉タイプがあります
季節によって二つのタイプの風炉を使い分けています
猛暑時期には眉風炉を使用しますが、これはお客様に風炉の熱を感じさせないようにとの心遣いです
6月梅雨の茶会 梅雨時期は鬱陶しいお天気が続きますが、自然をめでる気持ちになりますと、
雨にぬれたしっとりした緑はまことに趣が感じられます
水指しなどの陶器類につきましても、自然と同様に焼きしめ系器の濡れ肌に味わいがでます
7月朝茶 早朝の涼気が漂う時刻に始まり10時前には終了します
茶会の進行は略式で行われるのが普通です
この時期から趣向により夏茶碗が使われますが、底が浅いためにお点前が少々扱いづらくなります
8月八朔 八朔(はっさく)とは旧暦8月朔日(ツイタチ)のことでこの日、贈答をして祝う習俗があります
茶行事としては、三千家とゆかりのある職家の方々が正装で当家へご挨拶回りをします
この時期に灰の手入れをします
9月 天然忌
七事式
表千家七代如心斎の忌日で天然忌として残月亭に供茶がなされます
一二三数茶が隔年で催されます
七事式とは茶作法に則ったお遊びのようなものです
その種類は、花月・且座・茶かぶき・廻り炭・廻り花・一二三・員茶とあります
10月中置 次月からは心新たに炉が切られますことから、風炉名残のときです
風炉の位置も壁よりから道具畳の中ほどに据えられます
この時期になりますと前欠き風炉が使用されます
11月 炉開き
口切の茶事
表千家では11月8日を炉開きの初稽古としていますが
利休は「柚子の色づく頃」と申し、日にちを定めていたわけではないようです
口切の茶事は茶の湯の世界では最大の節目で、いわばお茶の正月といえます
新茶の入った茶壷が床の上に置かれ、その茶壷の口を切ることから口切の茶事といわれます
12月夜咄 1年を振り返り思い出話や、お茶話をしながらの茶事です
夜咄に欠かせないのは、短檠小燈し、手燭の灯りです
灯の明かりで茶事を行いますと格別の趣がでてきます

      







茶の湯行事資料編

結び柳






丸山宝(まるさんぽう)






長熨斗(ながのし)
アワビをたたいて伸ばしたもので、のしあわびが由来です
現在では贈り物に対する祝意を表します






島台茶碗
大小二枚重ねの茶碗(用途:濃茶用としてが多いです)






灯篭・短檠・小燈(とうろう・たんけい・ことぼし)
短檠:灯火具の一です。本来はたけの低い灯台のこと、一般には油皿が柱の中途につき、
   柱立の台を箱形につくったもので茶席の夜会に多く用いられます
小燈:室内携帯用の小形の蝋燭立て。多く柄がついています。小灯。手とぼし。

短檠




天目茶碗
茶碗内部の美しい模様は宇宙の広がりを連想させてくれます

 




七事式

 花月之式 (かげつのしき)
 「花月之式」とは、亭主一人と客四人の合計五人で行います
 花月札と小の折据(おりすえ)を用いて、月があたればお茶を飲み、花があたればお点前をします
 濃茶付花月  花月之式に濃茶がついたもの
 炭付花月   花月之式に初炭点前がついたもの
 且座之式(さざのしき)
 「且座之式」は客が三人と亭主(東(とう))、補助役(半東(はんとう))の合計五人で行います
 正客が花を生けて次客が炭をつぎ、三客が香をたきます。東が濃茶を点て、半東が薄茶を点てます
 且座はお茶のすべての分野が含まれます
 員茶之式(かずちゃのしき)
 「員茶之式」とは、客一同が札をひき、当り札をひいた客から亭主のたてた薄茶を順次のむことになります
 客は大勢でもよく、客の末座に札もとが座り札の世話をします
 茶カブキ之式(ちゃかぶきのしき)
 「茶カブキ之式」とは、三種五服の濃茶をのみ茶銘をあてるという濃茶のテイスティングです
 まずはじめに銘のあかされた試茶二種をのみます
 次に銘のふせられた本茶三種をのんで客がその茶銘を当てます
 一二三之式(いちにっさんのしき)
 「一二三」とは、亭主が点てた濃茶に、客はその点前を拝見しその出来不出来に札を入れます
 札の順位で亭主の点前を評価するということになります
 回り花(まわりばなのしき)
 「回り花」とは、主客が順に花を生けます(茶花のお稽古)
 客は何人という定めはなく花入はおもに竹の三重切の物を使用し、花と花台等を用意します
 回り炭(まわりずみのしき)
 「回り炭」とは主客ともに順次、炉に炭をつぎます
 前の人がついだ炭のかたちはさけるようにして全体の形を程よくつぐようにします
 炭の置き方や炭を火箸ではさむお稽古です



透木(すきぎ)
茶道具の一で五徳を用いずに、釜を風炉または炉壇に掛ける時、
その縁と釜の鍔(ツハ)゙の間に置いて、通風のために用いる木です
桐か朴ホオを用います
季節により気温が高くなると炭火の暑苦しさを客に感じさせないようにとの心遣いから用います


前欠き風炉眉風炉
前欠き風炉:風炉の正面が大きく切り取られているタイプ
眉風炉:風炉の正面に透かし穴があいているタイプ(暑い季節に使用します)






焼締(やきしめ)
釉薬を使わずに高温で焼成する技法で、肌合いが素朴な感じを出します



焼き物は分類しますと四種類に分けられます
「陶器」 粘土に釉薬を施し1100〜1200度で焼かれます
一般的に素焼き後に絵付け、施釉、本焼という工程を経ます
笠間・益子・織部・志野・唐津・萩・相馬・薩摩焼など
「磁器」 石の粉に粘土や石英などを混ぜた陶石を使用します
焼成温度は1300度前後の高温です
有田・伊万里・九谷・瀬戸・美濃・砥部焼など
「せっ器」
(やきしめ)
吸水性の少ない粘土を使用し釉薬をかけません
1200〜1300度の高温で長時間掛けて焼成します
備前・常滑・信楽・万古・伊賀焼など
「土器」 粘土に釉薬無しで素焼きで完成します
焼成温度は700〜800度で焼成します
食器には向きません(植木鉢など)



夏茶碗

夏には底の浅い平茶碗が使われる機会が多くなります


表千家系図






茶壷


口切の茶事に使用される茶壷の中には5月に採れた新茶が貯蔵密封されています
茶壷は網に入れられて置かれます
この茶壷には入日記と呼ばれるお茶の銘柄や種類を明記した書付があります
壷の中には濃茶用の茶や薄茶用の茶が小袋に収められています




置合せ心をつけて見るぞかし袋の織目たたみ目に置け
千利休


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