茶の湯とは
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歴史の中で先人たちは様々な楽しみ方をしてきたわけですが、 茶の湯の世界では、伝統工芸といわれるいろいろな分野の芸術が集まり 茶の湯を構成しています 茶の湯を行う場所、茶室には日本伝統建築の粋が表現されています 茶室デザインにおきましては室内外ともに一切の贅を取り除き、 侘びの世界を表現しています 今では、その素朴な建築物であるはずの茶室を建造するに、 高度な技術力を必要とし建築費用が高額になるという少々皮肉なことになっていますが・・・・・ ![]() 茶室デザインの上で象徴的な造作の一つに"にじり口"があります いわば、茶室の玄関口です 方形で二尺(60cm)角ぐらいの狭い出入口で、 すべてのお客さまはこのにじり口から出入りします 茶事におきましては何も持たずに身一つで茶室に入るのが約束です ![]() 武士・大名でしたら大刀を、僧侶でしたら大袈裟を、 女性でしたら装飾品を身からはずさないと通れないよう狭くし 身分や男女の分別を超越した、 ただ茶の湯の客人として等しくおもてなしするというのが「お茶の精神」です ![]() 茶室内部の床の間には、茶掛けという掛物が掛けられます この茶掛けは、茶事におきましてとても重要な役割を担います 茶事を催すにあたりまして、そのテーマをこの茶掛けに託します 茶事に招かれたお客さまは茶室に入りますと、はじめにこの茶掛けを拝見し 本日のテーマを想像しながら鑑賞します 後に、お客さまは「本日のお床(おとこ)は?」という問いを亭主に投げかけますが これは本日の茶事のテーマを亭主にお尋ねすることなのです ![]() 床の間には茶花が生けられています この茶花にも決まりごとがあります 華麗な生け花や、フラワーアレンジメントのような人工物は茶花としては適しません 利休居士の残された、"利休七則"という"茶の湯のこころ"を表す原則が受け継がれています 利休七則(りきゅうしちそく)
このことは、あらゆる生命を慈しみ尊ぶという精神を表現しています 一服のお茶をいただくには、それを点てるためのいろいろな道具が必要です いわゆる茶道具といわれるものです ![]() お湯を沸かすには、火をおこすための"炉"、炉の中には"炭"や"灰"、"五徳"など また炉の上には"釜"、その釜に入れるための水を貯蔵しておく"水指し(みずさし)"・・・・・ 実にたくさんの道具が使われますが、その道具一つ一つにそれぞれ伝統工芸の世界があります ![]() 見方によりましては茶室内部は、そこに在るものすべてが伝統工芸・芸術の世界でもあるのです 当然、茶の湯の世界は”もの”よりも、"こころ"を大切にしています 学究的・哲学的な解説はご専門の方々にお任せしても、前述の"利休七則"には 茶の湯の精神が単純に的確に表現されています そこには難解な理論や厳しい修行など特別な事無く、大上段に構えず平易に心のあり方が記されています 世の中の仕組みがとても複雑に絡み合う現代こそ、平易な心のあり方が求められる思いです ![]() 茶の湯は”もの”と”こころ”が有機的な良い関係を築いています "物"が"心"を、"心"が"物"をお互いに高めあう場であるとも言えます 大量生産・大量消費に揺れ動いた過去を省みて、今こそ茶の湯が必要な時代なのかもしれません ![]() 雰囲気や節目というのはとても大切なものです 同じお食事でも、場所や食器の違いでこの上なく美味しいと感じたりするものです 茶室や茶道具には"こころ"を浄化する"癒し"効果もあるようです 日本の四季はそれぞれに美しく、人々の心を漫然とした惰性から旬を愛でる心を育みました 変わること無い時の流れの中で、季節が人々の心に時の流れの節目を作り "心新たに"次の季を迎えることができます ![]() 俗世間の喧騒から隔絶された茶室に入りますと、それだけで心洗われる思いです 日本風土で培われた伝統芸術のエッセンスを集合させた"茶の湯"を 日常に取り入れることにより、それがあたかも節目となり、 改めて日常を"本来の自分らしく"取り戻せることになり、一段と楽しい日々となるのではないでしょうか。 ![]() お茶は茶禅一味といわれるように茶の湯を行うことにより自然と精神性が高められます 世界にはそれぞれその国の風土に培われた伝統文化が存在します 他の国では類を見ないほどに、日本の四季が織りなす美しい自然の移り変わりが 世界にひとつしかない日本を代表する文化といわれている"茶の湯”を結実させました "自分らしさ"再発見のためにも"茶の湯"の世界をご堪能下さい |